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新型コロナの有望薬「アビガン」「レムデシビル」ってどんな薬?

国内での感染拡大が続く新型コロナウイルス。
現感染症に対して確実に効果が確認された治療薬はまだないです。
ただし、各国当局の臨床試験などによって、効果が期待される3つの治療薬が浮上してきました。


 新型コロナウイルス感染症対策本部で、厚生労働省は一部の医療機関において治療薬「アビガン」「レムデシビル」「カレトラ」を使用した研究を始めたことを明らかにしています。
いったいどんな薬なのでしょうか?


 共通するのは、いずれも新型コロナウイルスに対して開発された治療薬ではないという点です。


「アビガン」は、抗インフルエンザウイルス薬。
富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学が開発し、2014年に製造・販売の承認を得あました。
ただし、国が新型インフルエンザの流行に備えて備蓄する特殊な治療薬で、一般に流通はしていません。
国は現時点で200万人分の備蓄を持ち、「タミフル」など既存のインフルエンザ治療薬が効かないような新型インフルエンザウイルスが流行した時に、初めて国がアビガンの投与開始を検討するものとなります。


 インフルエンザウイルスは、
(1)人の粘膜に吸着して細胞内に侵入し、自身の膜を破って細胞中にウイルスの設計図であるRNA(リボ核酸)を放出する。これを「脱殻」という。
(2)放出されたRNAが、細胞内でさらにウイルスを生む。これを「複製」という。
(3)そのウイルスが酵素の力を借りて細胞の外に出る。これを「遊離」という。
これらのどの段階を阻止するかで、薬の種類が異なリます。


 このうちアビガンは、「複製」を助ける「ポリメラーゼ」と呼ばれる酵素の力を阻害する「RNAポリメラーゼ阻害薬」といういちづけとなります。
新型コロナウイルスもRNAの複製によって増殖するため、同様の阻害効果が期待されているわけなのです。


 アビガンのメリットは、条件付きではあるが国の承認が既に得られている点ですね。
効果が確認され、新型コロナウイルスに対する承認が得られれば、すぐにでも投与が可能になるらしいです。
富士フイルムホールディングスは「アビガンの増産に関する検討要請が政府から来ているのは事実。現在、検討中だ」としています。
ただし、アビガンは胎児に副作用があるため、妊婦には使用できません。
子供を作ろうと考えている男女にも、将来的に影響を及ぼす可能性が高いので、なかなかネックな薬です。


 「レムデシビル」は、米製薬大手のギリアド・サイエンシズが開発したエボラ出血熱の治療薬です。
中国を視察した世界保健機関(WHO)の担当者が24日、レムデシビルに対し「現時点で本当に治療効果があるとみられる唯一の薬」と発言したことで、「有望薬」として一気に注目を集めています。


 ただし、レムデシビルが承認薬として日本の患者に届くには時間がかかりそうです。
NIHによる臨床試験は、結果が出るまで1年程度かかるとの報道があります。
申請から承認まで、通常だとさらに1年ほどかかることから、ある製薬会社の担当者は「緊急性を考えて特例扱いだとしても、最短でも年内の承認だろう」とみています。


 3つ目の有望薬として期待されるのが「カレトラ」。抗エイズウイルス(HIV)薬として知られています。


 HIVが増殖する過程はよくプラモデルで例えられています。
HIVは細胞に侵入すると、その細胞を乗っ取ってウイルス用にタンパク質を合成させます。
このタンパク質は、箱を開けたばかりのプラモデルの部材のように、小さな部品がつながっている状態となります。
このままでは組み立てられないので、「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素が“はさみ”の役割を果たします。
切られてバラバラになった部品を、プラモデルのようにウイルスが組み立てていきます。


 このプロテアーゼの働きを阻害するのがカレトラなどの「プロテアーゼ阻害薬」となります。
 新型コロナウイルスもプロテアーゼの働きを借りるとされています。
同じコロナウイルスであるSARSの原因ウイルスに対しても効果がある可能性があるとの研究結果があることなどから、新型コロナウイルスに対しても効果が見込めると判断されたもようです。


 3つの治療薬はいまだ検証中であり、効果が保証された薬はないので。
各国当局は「既存薬の転用」という奥の手を使って、治療法の確立を急いでいます。